採用でAIを使う — 効率化と公平性のどちらを損なうか
書類選考の自動化は時間を削る。ただし過去の採用結果を学習させると、その時点の偏りが固定される。どの工程に使うかの判断が必要になる。
編集部
AI Tools Hub 編集部 · 公開 2026-11-01

使ってよい工程
応募書類の構造化(職歴を一覧にする、必須資格の有無を抽出する)候補者からの質問への一次回答面接の日程調整面接の記録作成(同意を得た上で)募集要項の文面の作成
共通するのは、合否の判断を含まないことである。情報を整理して人が判断しやすくする工程なら、偏りの問題が生じにくい。
避けるべき工程
合否の自動判定過去の採用実績からの適性スコアリング表情や声の分析による評価応募者の属性に相関する項目での絞り込み
2番目が最も危険である。過去に採用した人の特徴を学習させると、過去の採用に偏りがあった場合、それを再生産する。しかも機械が出した数値には客観性があるように見えるため、偏りが見えにくくなる。
説明できる状態にする
不採用の理由を聞かれたときに答えられる状態にしておく。「システムのスコアが低かった」は説明になっていない。人が判断した理由を記録に残す運用にする。
この要件があるだけで、自動判定を使わないという結論になることが多い。
候補者への告知
選考にAIを使っている場合、その事実を候補者に伝えるかを決める。使い方によっては伝えるべきである。面接の録音と記録生成には、明確な同意が必要になる。
海外では選考でのAI利用に関する規制が整備されつつある。海外からの応募を受ける場合、応募者の所在地の規制が関係する可能性がある。
募集要項を書くのに使う
最も安全で効果がある使い方は、募集要項の文面を作ることである。要件を箇条書きで渡して文章にする、特定の属性を想起させる表現を避ける、といった作業に向く。
これは選考ではないので公平性の論点が生じず、しかも応募数に影響する工程である。投資効率が高い。
効果の測り方
導入の効果は、選考にかかる時間ではなく、採用した人の定着と活躍で測るべきものである。ただしこの測定には時間がかかるので、短期的には「書類選考の所要時間」と「応募から一次面接までの日数」で見る。
よくある質問
- Q. 応募が多すぎて処理できない場合は。
- A. 必須要件の有無による機械的な絞り込みは可能です。「3年以上の経験」「特定の資格」など、明文化された要件に限定してください。適性の推定による絞り込みは避けてください。


