RPA と AIエージェント — 置き換えではなく使い分け
既にRPAを運用している組織で、AIエージェントに移すべきかどうか。手順が確定している処理を移す理由はない。移す価値があるのは別の種類の処理である。
編集部
AI Tools Hub 編集部 · 公開 2026-11-01

性質の違い
| RPA | AIエージェント | |
|---|---|---|
| 動作 | 記録した手順を再生 | 文脈から判断して操作 |
| 例外 | 想定した分岐のみ | 想定外にも反応する |
| 再現性 | 高い | 低い |
| 画面変更への耐性 | 弱い | やや強い |
| 保守 | 分岐の追加 | 指示の調整 |
| 費用 | ライセンス(固定) | 実行ごとの従量 |
移さないほうがよい処理
毎回同じ手順で、例外がほぼない処理件数が多く、1件あたりの費用が問題になる処理結果の正確さが絶対に要る処理(会計、給与)すでに安定して動いていて、保守の手間が少ない処理
特に4番目が重要である。動いているものを移す理由は、新しい技術だからではなく、具体的な問題があるからでなければならない。
移す価値がある処理
例外が多く、分岐が増え続けている処理非定型の入力を扱う処理(自由記述、添付ファイル)判断が必要で、これまで自動化を諦めていた処理画面の変更で頻繁に止まる処理
「分岐が100本を超えて誰も全体を把握していない」という状態のRPAは、移す候補である。分岐で表現しようとしていたことを、判断に委ねるほうが保守できる。
費用の構造が逆転する
RPAはライセンス費用なので、実行回数が増えても費用が変わらない。AIエージェントは実行ごとの従量なので、件数が多いと高くなる。
1日1,000件処理する業務では、RPAのほうが安いことが多い。1日10件で、しかも毎回違う判断が要る業務では逆になる。件数と判断の必要性の両方で判断する。
併存させる構成
判断の部分だけAIに任せて、確定した操作はRPAに残す構成が現実的である。「この書類はどの処理に回すか」をAIが決めて、その後の入力作業はRPAが実行する。
この分け方なら、既存の投資を活かしつつ、自動化できなかった部分を埋められる。全面的な置き換えより移行のリスクが小さい。
判断の記録を残す
RPAは手順が記録されているので、何をしたかが追える。AIに判断させる場合、なぜその判断をしたかが残らない。業務の性質上、説明が求められる処理では、判断の根拠を記録する設計にする。
よくある質問
- Q. RPAのライセンスを減らせますか。
- A. 判断が要る処理をAIに移せば、分岐の保守工数は減ります。ライセンス数自体は、実行する処理の本数で決まるのであまり変わりません。


