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deep dive4分 で読める公開 2026-11-01

LLMアプリの観測ツール — 何を記録しておけば後から直せるか

LLMアプリの失敗はクラッシュではなく「もっともらしい誤答」である。例外も出ずエラーログにも残らないので、後から何を見てそう答えたのかを再構成できる記録がないと直せない。本番に出す前に何を残しておくべきかを整理する。価格は2026年11月時点の確認値。

編

編集部

AI Tools Hub 編集部 · 公開 2026-11-01

LLMアプリの観測ツール — 何を記録しておけば後から直せるか

記録しておくべき5つ

  • どのプロンプト版で実行したか(バージョンが分からないと再現できない)
  • 検索で何が引かれたか(RAG なら誤答の原因はたいていここ)
  • モデルとパラメータ(温度やモデル差し替えの影響を切り分ける)
  • 入出力のトークン数と所要時間(費用と遅延の調査に要る)
  • ユーザーの反応(やり直したか、離脱したか)

2つめが最も重要で、最も残されていない。「回答が間違っている」と報告を受けたとき、モデルが悪かったのか、検索が関係ない文書を引いたのかを切り分けられないと、対策が勘になる。

主要ツールの比較

LangfuseHeliconePortkeyBraintrust
無料枠月5万ユニット・30日保持月1万リクエスト月1万ログ・3日保持$10分のモデルクレジット
最安の有料$29/月$79/月$49/月$249/月
OSS・セルフホストありあり(Enterprise で on-prem)あり記載なし
設置方法SDK でトレースを送るゲートウェイ経由ゲートウェイ経由SDK
評価機能オンライン・オフラインプロンプトとテストガードレール中核機能
OpenTelemetry対応———
2026年11月に各社の公式料金ページで確認。

設置の仕方で2種類に分かれる

Langfuse と Braintrust は SDK でトレースを送る形で、アプリのコードに計測を入れる。どのステップを1つのトレースにまとめるかを自分で設計できるので、エージェントのような多段の処理に向く。

Helicone と Portkey はゲートウェイとして間に入る。API のベースURLを差し替えるだけで記録が始まるので、既存コードをほとんど触らない。代わりに、アプリ内部のステップ構造は見えない。

単純な1回の呼び出しが中心ならゲートウェイ型が速い。検索・判断・ツール呼び出しが連なるエージェントなら、トレース型でないと原因を追えない。

いつ入れるか

本番に出す前である。多くのチームは問題が起きてから入れるが、そのときには過去のトレースが存在しない。「先週のあの誤答」を調べる手段がないまま、再現を試みることになる。

Langfuse の Hobby は月5万ユニット無料で、小規模な本番アプリなら賄える。予算の相談を待つ理由がない。

ユニットの数え方に注意する

Langfuse は1トレース・1観測(スパン、イベント、生成)・1スコアをそれぞれ1ユニットと数える。エージェントが1回動くと、ツール呼び出しの数だけ観測が増える。5ステップのエージェントなら1回の実行で6〜10ユニットになる計算で、月5万ユニットは5,000〜8,000回程度に相当する。

単純なチャットなら1回2〜3ユニットなので、同じ無料枠でも2万回近く使える。自分のアプリの形で見積もらないと、枠の大きさを読み違える。

プロンプト管理を分けるかどうか

プロンプトをコードから出して管理画面で変えられるようにすると、デプロイなしで調整できる。これは便利だが、変更履歴とバージョンの紐付けを同時にやらないと、「いつ何を変えたか分からないのに挙動が変わった」状態になる。

Langfuse と Portkey はプロンプト管理を内蔵している。使うなら、トレースにプロンプト版が記録されることを確認してから運用に乗せる。

よくある質問

Q. 既存の監視ツールでは駄目ですか。
A. レイテンシとエラー率は既存のもので取れます。足りないのは、プロンプト版・検索結果・トークン数といったLLM固有の情報です。Langfuse は OpenTelemetry に載るので、既存の観測基盤と併用できます。
Q. セルフホストすべきですか。
A. トレースにはユーザーの入力がそのまま含まれます。その内容を外部サービスに置けないなら、セルフホスト一択です。置けるなら、運用の手間を考えるとマネージドのほうが安く済みます。
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