AIエージェント基盤の比較 — Dify・n8n・Lindy は何が違うか
「AIエージェントを作るツール」は一括りにできない。LLMアプリとRAGを組む基盤、業務フローをつなぐ基盤、常駐アシスタントを作る基盤の3種類がある。作りたいものから逆算して選ぶ。料金は2026年11月時点の確認値。
編集部
AI Tools Hub 編集部 · 公開 2026-11-01

3種類の基盤
| ツール | 得意なこと | 課金 | 自前運用 |
|---|---|---|---|
| Dify | 社内文書を使うチャットボット・RAG・LLMアプリの公開 | Sandbox 無料/Professional $590/年 | OSS版あり |
| n8n | SaaS間のデータ連携、分岐と繰り返しを含む業務フロー | Starter €20/月(年払)/Community版は自前運用 | 可能 |
| Lindy | メール・会議・CRM更新を任せる常駐アシスタント | $49.99/月(5,000クレジット)/無料で$50分 | 不可 |
1. Dify — 社内の文書に答えさせる
Dify は、社内のマニュアルや規程を読み込ませて質問に答えるチャットボットを作る用途に向く。RAG のパイプラインをGUIで組めるので、ベクトル検索の実装を自分で書かなくてよい。作ったアプリはWebページとして公開するか、APIとして呼び出せる。
無料の Sandbox は200メッセージクレジット、1ワークスペース、1メンバー、5アプリ、ナレッジ文書50件という枠である。評価には足りるが業務では早く尽きる。Professional が年$590で5,000メッセージクレジット/月、3メンバー、50アプリ、ナレッジ文書500件になる。
OSS版を自前で動かせるのが大きい。社内文書を外部のクラウドに置けない組織でも、同じ機能を自社のサーバーで運用できる。
2. n8n — 業務フローをつなぐ
n8n はAI専用のツールではなく、業務自動化の基盤にLLMノードが載っている構造である。「問い合わせメールが来たら分類して、担当者のSlackに投げて、スプレッドシートに記録する」のような、複数のサービスをまたぐ処理に向く。
AIに判断させる部分は全体の一部で、残りは条件分岐とデータ整形である。この比率がAI7割ならDify、AI2割なら n8n という分け方で考えると選びやすい。
3. Lindy — 常駐して先回りする
Lindy は、フローを作って終わりではなく、エージェントが常駐して受信や予定を監視し続ける形をとる。メールの下書き、会議の設定、CRMの更新といった定型の秘書業務を任せる想定である。
無料で$50相当のクレジットを試せて、有料は月$49.99で5,000クレジットになる。クレジットの消費は処理の内容で変わるので、無料枠の間に自分の用途で何クレジット使うかを測っておくと見積りができる。
選び方:3つの質問
社内の文書に答えさせたいか → はいなら Dify複数のSaaSのあいだでデータを動かしたいか → はいなら n8n人がやっている定型の判断を代わりにやらせたいか → はいなら Lindy
2つ以上に「はい」が付く場合、まず1つに絞って小さく作る。3つを1つのツールで無理にやろうとすると、どのツールでも設定が複雑になって運用できなくなる。業務自動化が止まる原因の多くは、作った人以外が中身を理解できなくなることである。
共通してつまずく点
どの基盤でも、作った後に効いてくるのは3つである。モデルの費用が実行回数に比例して増えること、プロンプトを変えたときに過去の挙動が再現しなくなること、そして作った人が異動したら誰も触れなくなることだ。3つめが一番多い。
対策は地味だが、作ったフローの目的と前提を文章で残すことに尽きる。GUIで組んだフローは画面を見れば構造が分かるが、「なぜこの分岐があるのか」は画面に残らない。
よくある質問
- Q. モデルの費用は別にかかりますか。
- A. n8n は自分でAPIキーを用意するので実費が別にかかります。Dify と Lindy はプランに含まれるクレジットで消費する形です。どちらも使う量が増えれば費用は増えます。
- Q. プログラミングができなくても使えますか。
- A. どれもGUIで組めますが、APIの考え方(認証、リクエスト、レスポンス)は理解が必要です。とくに n8n で既製コネクタのないサービスをつなぐ場合は、APIドキュメントを読む作業が入ります。

