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deep dive9分 で読める公開 2026-11-01

電話対応をAIに任せる — 音声AIエージェントの費用と限界

電話対応をAIに任せる構成は、分単位の従量課金で原価が積み上がる。ホスティング、文字起こし、モデル、音声合成、電話回線の5つが別々に課金される。1,000分でいくらになるのかを具体的に見る。価格は2026年11月時点の確認値。

編

編集部

AI Tools Hub 編集部 · 公開 2026-11-01

電話対応をAIに任せる — 音声AIエージェントの費用と限界

費用は5つの積み上げ

要素役割単価の目安
ホスティング通話の制御と状態管理$0.05/分(サポートパッケージなしの場合)
文字起こし話した内容をテキストにする$0.0095〜0.0099/分
言語モデル何を答えるか決める$0.0077〜0.0452/分
音声合成テキストを声にする$0.0146〜0.0238/分
電話回線発着信そのもの自社のSIPは無料。外部事業者は各社の料金
Vapi の公式料金ページで2026年11月に確認。モデルの費用は原価で通される形になっている。

公式の計算機では、1,000分で月$82〜$129という見積りが出る。日本円で1万2千円から2万円前後である。言語モデルの選択で幅が大きく、安いモデルなら下限、賢いモデルを使えば上限に近づく。

これに加えて、月額のサポートパッケージを選べる。パッケージなしは完全な従量課金で、Core が月$29、Pro がホスティング費用の10%(最低月$999)という段階になっている。小さく始めるならパッケージなしで、$5分の無料クレジットから試せる。

1,000分は多いのか少ないのか

1件3分の問い合わせなら約330件である。1日15件の電話を受ける規模の事業所で、ひと月ぶんにあたる。人が対応する場合の人件費と比べれば圧倒的に安いが、これは「全件をAIが完結させた場合」の数字である。

実際には途中で人に引き継ぐ通話が出る。引き継いだ通話もAI側の分数は消費されるので、費用は減らずに人の工数が乗る。導入の判断は「何割を完結させられるか」で決まる。

任せられる領域と、任せられない領域

任せやすい

  • 営業時間・所在地・駐車場の有無のような定型の問い合わせ
  • 予約の受付と変更(在庫や空き枠をシステムから読める場合)
  • 一次受けと要件の聞き取り、担当部署への振り分け
  • 折り返しの約束と、その記録

任せにくい

  • 苦情とクレームの初期対応(感情の機微を読む必要がある)
  • 金額や契約条件の確定(間違いの責任が重い)
  • 相手が高齢で聞き返しが多い通話(往復が増えて分数が膨らむ)
  • 背景の騒音が大きい環境からの通話(文字起こしの精度が落ちる)

任せにくい領域に無理に当てると、通話が長引いて費用が増え、相手の満足度も下がる。最初は「定型の問い合わせだけAI、それ以外は即座に人へ転送」という設計から始めて、転送率を見ながら範囲を広げるほうが安全である。

日本語で使うときの注意

文字起こしと音声合成のどちらも、日本語の品質はエンジンによって差が大きい。英語で評価して導入を決めると、日本語で期待と違う結果になる。評価は必ず日本語の実際の通話音声で行う。

もう1つは応答の遅延である。文字起こし、モデルの推論、音声合成を順に通すため、人同士の会話より間が空く。電話では0.5秒の沈黙が長く感じられる。遅延を縮めるには速いモデルを選ぶ必要があり、賢さとのトレードオフになる。

法律面で確認すること

通話を録音して文字起こしする構成になるため、録音することの告知が必要になる。冒頭の自動音声で伝えるのが一般的である。あわせて、通話内容の保存先と保持期間、学習利用の有無を確認しておく。この観点は議事録AIと同じなので、本サイトの関連記事が使える。

よくある質問

Q. 既存の電話番号をそのまま使えますか。
A. 外部の電話事業者と接続する構成であれば可能な場合があります。番号ポータビリティと接続方式は事業者ごとに条件が違うので、現在契約している事業者に確認が必要です。
Q. 費用を抑えるにはどうすればよいですか。
A. 通話を短くすることが最も効きます。冒頭の案内を短くし、聞き返しが起きにくい質問文にするだけで平均通話時間が縮みます。モデルを安いものに替えるのは、応答品質が落ちて逆に通話が伸びることがあるため、効果を測ってから判断してください。
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