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tutorial13分 で読める2026-05-05

法人向け生成AI導入のRFPテンプレート — 稟議・選定基準・評価項目の決定版

法人での生成AI 導入は、PoC で「動くこと」を確認しても、稟議で「ベンダー選定根拠」が曖昧だと頓挫する。本記事は法人IT担当者がそのまま稟議に添付できる RFP(提案依頼書)テンプレートを提供。セキュリティ・サポート・コスト・拡張性の評価項目とPoC設計まで、実用的な雛形を整理した。

編集部

AI Tools Hub 編集部 · 公開 2026-05-05

法人向け生成AI導入のRFPテンプレート — 稟議・選定基準・評価項目の決定版

結論:3行で終わらせる

  • RFPは「ベンダーに何を答えさせるか」を構造化する文書。曖昧な質問では曖昧な回答が返る
  • 評価項目は「機能要件 + 非機能要件 + 商務要件」の3層に分けて整理。法務・情シス・現場の各視点を漏らさない
  • PoC設計とRFP回答を組み合わせて稟議に添付すれば、決裁者の「なぜこのベンダーか」への納得感が一段上がる

1. RFP(提案依頼書)とは

RFP(Request for Proposal)は、ベンダーに対して「自社の要件・期待・選定基準」を明示し、提案・見積を依頼する文書。中堅以上の企業ではIT 調達の標準プロセスとして定着している。生成AI 導入でも、RFP 不在のまま「なんとなく ChatGPT Enterprise」と決めると、後から要件不適合が発覚するケースが多い。RFP を構造化することで、ベンダー間の比較が公平になり、稟議の根拠資料として機能する。

2. RFP の標準構成(5部構成)

  • **1. プロジェクト概要**: 導入背景・目的・期待効果・想定スケジュール
  • **2. 要件定義**: 機能要件 + 非機能要件 + 商務要件(次セクションで詳細)
  • **3. 提案依頼項目**: ベンダーに回答してほしい質問リスト
  • **4. 評価基準と採点方法**: 各項目の重み付け、採点ルール
  • **5. 提出要件と選定スケジュール**: 提出期限・形式・選定プロセス

3. 機能要件チェックリスト

カテゴリ確認すべき項目ベンダーへの質問例
対応モデル利用可能なモデルとバージョン現在利用可能なLLM一覧と、モデル更新時の影響範囲は?
コンテキスト長1リクエストあたりのトークン上限標準コンテキスト長と、長尺対応のオプションは?
日本語対応UI言語・モデル日本語精度・敬語表現日本語の精度評価、社内テスト実施の協力可否は?
API・SDK提供API、対応言語、レート制限REST API / Python SDK / TypeScript SDK の提供状況は?
RAG・カスタマイズ自社データ連携、ファインチューニングRAG 構築・社内ナレッジ統合の標準的な方法は?
マルチモーダル画像・音声・動画・コードの対応テキスト以外の入出力対応範囲は?

4. 非機能要件チェックリスト

カテゴリ確認すべき項目ベンダーへの質問例
セキュリティ認証SOC2 Type II, ISO 27001, ISMS取得済みの認証一覧と、最新の監査レポート提供可否
データ非学習入力データのモデル学習除外データが学習に使われない設定の保証条項と、デフォルト挙動
データレジデンシー保存場所・処理リージョン日本国内データセンターでの処理可否、リージョン選択肢
IP補償著作権侵害補償の有無と範囲Copyright Shield 等の補償条項、補償上限額
監査ログ誰がいつ何を実行したかのログログ取得対象・保持期間・エクスポート形式(SIEM連携)
SSO/SCIMSAML SSO・SCIM プロビジョニング対応IDP一覧(Okta / Entra ID / Google)、SCIM対応
SLA稼働率保証と障害対応稼働率保証(%)、障害発生時の通知・対応時間
バックアップ・継続性データバックアップ・サービス継続バックアップ頻度、災害復旧計画(DR)の概要

5. 商務要件チェックリスト

カテゴリ確認すべき項目ベンダーへの質問例
契約形態サブスクリプション / 従量課金 / カスタム推奨される契約形態と、複数年契約の割引
料金体系席数・トークン数・モデル別単価想定利用量での年間総コスト試算
請求書払い日本円での請求書払い対応請求書払いの可否、振込手数料、支払サイト
インボイス対応適格請求書の発行インボイス制度対応、登録番号の有無
契約条件契約期間・解約条件・更新条件最低契約期間、中途解約条件、自動更新の有無
日本法人窓口日本国内のサポート・営業日本法人の有無、日本語サポート提供時間帯
プロフェッショナルサービス導入支援・トレーニングオンボーディング支援内容、トレーニングプログラム

6. PoC(実証実験)設計の標準項目

RFPに「PoC実施」を組み込むことで、机上の評価では分からない実用性を確認できる。PoC は「短期間でやる気を出すフェーズ」になりがちなため、以下の標準項目で設計を統制する。

  • **期間**: 2〜4週間(PoCだけ頑張る現象を避けるため、最終週の利用率を必ず計測)
  • **参加者**: 3部門以上から最低5名(特にAI懐疑派を1部門は含める)
  • **KPI**: タスク完了時間(前後比較)/ 出力品質スコア / 利用率 / NPS
  • **評価レポート**: 数値KPI + 定性コメント + 推奨判断(Go/NoGo/Hold)
  • **ベンダー協力**: PoC期間中の技術サポート時間、トラブル時の対応時間

7. 評価採点表のテンプレート

RFP回答とPoC結果を点数化して、ベンダー間の客観比較を行う。重み付けは自社の優先順位次第(例:セキュリティ重視なら non-functional の比重を上げる)。

カテゴリ重み(%)評価項目数採点ルール
機能要件25%6項目5段階(5=完全充足、3=部分充足、1=未対応)
非機能要件35%8項目5段階(必須項目で1点なら失格)
商務要件20%7項目5段階(コストは別軸で年間総額を比較)
PoC結果15%4 KPI前後比較で改善率を点数化
定性評価5%営業対応・将来性・企業安定性の総合判断
重み付けは自社の優先度に応じて調整。セキュリティ重視業界なら非機能要件を50%まで上げる例も。

8. 稟議書添付資料の構成

RFP プロセス完了後、稟議書には以下を添付すると決裁者の納得感が一段上がる。

  • **1. RFP本文**: 評価項目とベンダーへの質問を明示(数頁)
  • **2. ベンダー回答比較表**: 候補3社の回答を横並びで比較(1〜2頁)
  • **3. PoC実施結果レポート**: KPI実測値とユーザーフィードバック(1〜2頁)
  • **4. 評価採点表**: 重み付けに基づく総合スコア(1頁)
  • **5. 推奨案と次のステップ**: 1社推奨 + 理由 + 契約スケジュール(1頁)
  • **6. リスクと対応策**: 想定リスクとミティゲーション計画(1頁)
編集部の助言: RFPは「ベンダーを篩にかける」だけでなく、「自社が何を求めているかを言語化する」プロセス。要件定義が曖昧なまま RFP を出すと、ベンダーの回答も曖昧になり、稟議で詰まる。最初の要件定義に時間をかけるのが結局近道。
Q. RFPはどのくらいの分量で書けばいいですか?
A. 本文10〜20頁が標準。短すぎると要件不明瞭、長すぎるとベンダー回答が表面的になる。質問数は20〜40項目程度。重点は「自社固有の要件」を漏らさず書くこと。
Q. ベンダーは何社に送付すべき?
A. 3〜5社が現実的。少なすぎると比較材料が乏しい、多すぎると評価工数が膨大。事前リサーチで「対応可能なベンダー」をある程度絞ってから送付。
Q. RFP送付前にベンダーに相談していいか?
A. 可(一般的)。RFI(Request for Information)として事前に「対応可能か」の打診をするのは標準プロセス。RFP本送付時にすでにベンダー側の理解があれば、回答品質が上がる。
Q. 国産LLMと海外製LLMでRFP内容を変えるべき?
A. 基本構造は同じだが、データレジデンシー・国内サポート・業界規制対応の比重を上げる。海外製は「日本法人窓口」「請求書払い」「日本語サポート」の質問を必ず入れる。
Q. PoCにベンダーが協力しないケースは?
A. ある。特に小規模ベンダーは「PoCに人的リソースを割けない」と断ることがある。その場合、自社で評価する範囲を限定するか、ベンダーをショートリストから外す判断を。協力姿勢自体が「契約後のサポート品質」のシグナル。

まとめ

生成AI 導入の RFP は「機能要件 + 非機能要件 + 商務要件」の3層構造で組む。各層に20〜40項目のチェックリストを用意し、ベンダーに具体的な回答を求める。重要なのは「自社固有の要件」を言語化すること — 標準テンプレに自社事情を加える作業が、結果的に意思決定の質を決める。

RFP回答 + PoC結果 + 評価採点表 + 推奨案を稟議書に添付すれば、決裁者は「なぜこのベンダーか」を一目で理解できる。曖昧な「ChatGPT Enterprise が良さそう」ではなく、「8評価項目で総合最高得点、PoC で生産性 30% 向上、SOC2 / 日本リージョン対応・補償条項あり」のような具体的根拠で稟議が通る。

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